BCAAのメカニズムと効果を納得して使う|トライアスリート・マラソンランナーのための科学的ガイド
30kmを過ぎて脚が急に動かなくなる──。
実はその裏で、“糖質だけでなく BCAA も枯れている”ことをご存じですか?
BCAA不足は筋肉の分解や集中力低下を招き、失速リスクをさらに押し上げます。
この記事では、BCAAの基本から、持久系スポーツで注目される理由、サプリの選び方まで、科学的にわかりやすく解説します。
この記事の結論(時間がない人向け)
- 持久系アスリート → 2:1:1比率のBCAAが最適
- 筋肥大狙い → ロイシン高比率の4:1:1も有効
- 運動前後の摂取で、
筋分解抑制・集中力維持・筋肉痛の軽減 が期待できる
BCAAとは?持久系アスリートが注目すべき理由
BCAA(分岐鎖アミノ酸)とは
BCAA(Branched Chain Amino Acids) とは、体内で作れない必須アミノ酸のうち、
- バリン
- ロイシン
- イソロイシン
の3つを指します。
ほとんどのアミノ酸は肝臓で分解されますが、
BCAAは 筋肉で代謝される“特別なアミノ酸” です。
そのため、運動中のエネルギー補給や、筋肉の分解抑制に非常に重要な役割を果たします。

BCAA 3種類の特徴
筋タンパク質合成スイッチ
エネルギー供給サポート
脂肪燃焼・安定エネルギー
● ロイシン
筋タンパク質合成のスイッチをONにする
※本格的に働くのは運動後の休息中
● バリン
長時間運動のエネルギー供給をサポート
● イソロイシン
血糖維持・脂肪燃焼・安定したエネルギーに貢献
BCAAはなぜ筋肉で代謝されるのか?
多くのアミノ酸は肝臓で代謝されますが、BCAAは例外的に 筋肉で優先的に使われます。
筋肉内にはBCAA分解に必要な酵素が豊富にあり、
運動中のエネルギーや筋肉保護に直結するのが特徴です。
持久系スポーツでBCAAが重要な理由
① エネルギー源として利用される
長時間の運動で糖質(グリコーゲン)が減ると、
筋肉は BCAAをエネルギー源として消費 します。
② 筋分解(カタボリック)を抑える
血中BCAAが低下すると、体は筋肉を分解してBCAAを取り出そうとします。
BCAAを摂取しておくことで、
筋肉の分解を抑えることで、長時間の運動でも筋肉量を維持しやすくなります。
③ 集中力低下・中枢性疲労の予防
運動後半に「集中できない」「気力が落ちる」などの現象が起きるのは、
中枢性疲労 と呼ばれる脳の機能低下が原因です。
BCAAは神経伝達物質のバランスに関与し、
この中枢性疲労の軽減に寄与すると考えられています。
④ 筋肉痛の軽減(研究報告あり)
複数の研究で、
- 運動前後にBCAAを摂取 → 筋肉痛の軽減
- 翌日のパフォーマンス低下が抑えられる可能性
が示されています。
BCAAサプリの選び方
① 比率で選ぶ(最重要ポイント)
最も標準的で、持久系スポーツと相性が良い。
市販されている多くの製品がこの比率です。筋肉合成スイッチとして働くロイシンの比率が多い方が筋肉の合成には有利です。しかし、ロイシン比率が高すぎると他のアミノ酸の吸収を妨げる可能性があります。他のアミノ酸(バリン、イソロイシン)の機能を阻害しない範囲で、ロイシンのスイッチ機能を最大化するのがこの2:1:1とされています。
筋肥大目的の人向け。筋トレ勢にはメリットあり。
②パウダー or 顆粒 or タブレット or カプセル
✔パウダー
- もっとも安価でコスパが良い
- 水に溶かす手間がある
- 味を感じやすい
✔顆粒
- 個包装で持ち運びやすい
- 味が気になりにくい
- パウダーよりやや高い
- 飲みやすく携帯性抜群
- 価格は高め
✔ゼリー
- 水なしで手軽に飲める
- 価格は高め、かさ張る
移動先で飲むことが多い → タブレット・顆粒
運動中に飲みたい→ゼリー
コスパ重視 → パウダー
③味の違い
BCAAはどうしても苦みが出ます。
おすすめは、
🍋 グレープフルーツ
🍋 レモン
🍈 ライム
などの爽やか系フレーバー。
匂いがいい製品は多いのですが、味は苦手な人が多いです。
最初から大容量を買うのは失敗しやすいので注意。
私のお気に入りBCAAサプリ
私が普段摂取しているBCAAサプリをご紹介します。
移動先での摂取用に顆粒タイプ
運動前に摂取する普段使い用のパウダータイプ
匂いは本当のパイナップルにとても近くてテンション上がります。
味は悪くはないですが匂いほどパイナップルではないと私は感じました。
長時間の練習中や大会用にゼリータイプ
本番の補給食はBCAAの他、エネルギー補給や脚攣り防止のマグネシウムなどの成分も重要になってきます。
まとめ:BCAAは持久系アスリートの強力な武器
BCAAは、
- エネルギー源
- 筋肉分解の抑制
- 集中力維持
- 筋肉痛の軽減
と、多方面でアスリートを支える栄養素です。
運動の前後でうまく活用すれば、パフォーマンス向上と効率的な回復が期待できます。

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